学生のうちから知っておこう。クリエイターを守る法律や権利|その2

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近年、クリエイティブの需要や注目度が上がってきています。その反面、ネット各所で個人活動から商業物を問わず、創作物を問いただすような意見が見受けられるようになりました。
そのような問題に負けずクリエイティブ業界で生きていくためにはどうすれば良いのでしょうか。前回に続き、創作物を守る法律や権利を紹介したいと思います。
編集・執筆 / Haruna Kawanabe, AYUPY GOTO

目次

  • 1.知的財産権とは
  • 2.商業デザインを守る権利
  • 3.キャラクターの権利
  • 4.最後に

1.知的財産権とは

知的財産権」とは「著作権」をはじめとしたアイデアや精神的活動(試行錯誤)など、形の無いものに財産的価値を見い出し守る権利です。
この知的財産権は「産業財産権」、「著作権」、「その他の権利」の3つに分類できます。3つに分類されたものから更に細かい権利があります。

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産業財産権

特許権-新規性と進歩性を持った発明を生み出した場合、特許を申請することで特許権者に対して発明を実施する権利を与え、保護し占有することができる。
実用新案権-形状や構造、既存のものを組み合わせた技術思想の創作と考案を占有することができる。特許権から新規性という条件を抜いた権利。
意匠権-工業デザインの視覚的印象を保護することができる。
商標権-ロゴマークやトレードマーク、サービスマーク等サービスの提供、信用力(ブランド)を保護することができる。

著作権

「著作人格権」
複製権-著作者は、著作物を複製する権利を専有することができる。
上演権・演奏権-著作者は、著作物を演劇や音楽、演劇に関する映像を公共の場で公開することができる。
公衆送信権-著作者は、著作物をラジオやテレビ、電波やインターネットを通して不特定多数の公衆に送信することができる。
分布権-著作者は、「映画の著作物」と思われるものを複製して分布することができる。
展示権-著作者は、美術作品のような著作物を公共の場で公開することができる。
譲渡権-著作者は、著作物や複製品を譲渡して公共の場で広めることができる。
付与権-著作者は、著作物や複製品を付与して公共の場で広めることができる。
翻訳権・翻案権-著作者は、著作物の翻訳、映像化、ゲーム化等の翻案を行うことができる。

「著作人格権」
公表権-著作者は、未発表の作品を発表するタイミングやメディアを自由に選ぶことができる。
氏名表示権-著作者は、著作物を発表する際に実名か変名かを選ぶことができる。
同一性保証権-著作者に無断で著作物の作品名や内容を変えることを防ぐ。

その他の権利

回路配置利用権-コンピューターの性能を決定する半導体集積回路の設計を保護することができる。自分以外の権利者の半導体集積回路の製造を禁止する権利。
育成者権-品種改良によって生み出された植物の品種を保護することができる。
肖像権(人格権)-肖像に写った人物が持つ人格権。
肖像権(財産権)-肖像が生まれた瞬間に肖像自体が持つ財産権。

2.商業デザインを守る権利

前回の記事でも紹介しましたが、現在私たちの周りに存在する商業デザインに対する侵害には、著作権ではなく産業財産権が適用されます。
また、「特許権」は発明に適用される、報酬を得られる特殊な権利です。その権利をさらに使いやすくしたものが「実用新案権」です。他にも装飾や色彩などの「形」を守る「意匠権」、ロゴデザイン等に当てはまる「商標権」があります。

3.キャラクターの権利

近年、ゆるキャラや漫画が注目を集め、キャラクターをグッズ化し、販売する取り組みが多く行われています。このキャラクターたちはどのような扱いになるのでしょうか。
まず、キャラクターといっても漫画の登場キャラクターと、ゆるキャラのようにキャラクター単体で作られたものでは権利においての扱いが変わります。キャラクター単体の場合はそのキャラクター自体に美術的価値が生まれます。しかし漫画のキャラクターはあくまで漫画表現の一種と考えられる場合があります。そのため、原画や漫画に著作権は生まれますが、キャラクター自体には著作権が生まれません。
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キャラクターを保護するために「商品化権」をもとにキャラクターをグッズ化します。「商品化権」は、著作権や意匠権、商標権を合わせた概念です。この権利があったとしても利用者側と制作者側で取り扱いについてはしっかり話し合う必要があります。

4.最後に

近年様々な創作表現や、その流通方法をめぐって問題が起こっています。消費者の理解と制作者の意図、販売元の事情などお互いの立場や仕事に対する認知の食い違いだけではなく、作品がどのような権利を持っているか、三者の理解や認識が合っていないことも少なくありません。
法律や権利は時代によって変化します。その上で自分や作品を自身で守れるように、創作物に対する権利について常に関心を持っておきましょう。

(2017.1.26)

著者

川鍋春菜

多摩美術大学 美術学部 情報デザイン学科 情報デザインコースに 所属しています。UI/UXやサービスデザインについて勉強しています。 趣味はアニメ、アナログゲーム、デジタルゲームなどなど。

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