先輩、就活にかかった費用を教えて下さい!クリエイター就活のお金事情

就活で気になるものの一つ……それはお金。なんとなく「就活にお金がかかる」ことは聞いていても、その内訳や事前にどれくらい準備しておいたほうが良いのかは想像しづらいですよね。インターネットで調べてみると、就活にかかる費用は50万円にものぼったというケースもでてきます。しかし、クリエイター就活となるとまた事情は変わるもの。
今回は、なかなか人に聞きづらい「クリエイター就活でかかるお金」について、筆者の経験やアンケートなどから探っていきたいと思います!編集・執筆 / MINAMI KUSUNOKI,YOSHIKO INOUE

1.ポートフォリオだけじゃない。就活に必要なものリスト

(1)作品制作

¥0〜上限なし(作るものによる)

就活が始まる前の冬休みや春休みは、ポートフォリオと同時並行で追加の作品制作を行う人が多いです。パソコン作業で終始する人もいれば、印刷や素材集めに費用がかかる人も。新たに作品を制作する場合、制作費はなるべく惜しまないほうが吉。間に合わせでクオリティの低いものを作ったところで、ポートフォリオの質が落ちてしまうだけです。今ある作品をブラッシュアップやリ・デザインするなど時間と予算を考えつつ、クオリティの高いものが仕上がるように努力しましょう。就活直前の春休みに慌てて作るのではなく、その前の春、夏くらいから徐々に作品をそろえていくのがベストです。
予算とは関係ありませんが、課題はデータ化しておくのもお忘れなく!課題の講評後に写真撮影をしておきましょう。写真のクオリティはポートフォリオの見栄えを左右するので、写真が得意な人に頼むのも良いかもしれません。

(2)ポートフォリオ

  • ファイル ¥1000~¥3000
  • 手製本 ¥5000~¥10000
  • 印刷会社 ¥5000~¥100000 (部数や装丁内容による)

ポートフォリオづくりでお金がかかるのは、印刷・製本の部分ですね。試し刷りなども考えると何度も発生してしまうものなので、学校や自宅プリンタなど、安く済ませられると大きな節約になります。
製本にどれだけ凝るかは、業界や個人のこだわりにもよりますが、「はたらくビビビット」編集部が所有する内定者ポートフォリオ50冊を見比べてみると、以下のような偏りがありました。

●凝った製本のものが多い
・・・広告やパッケージ、グラフィックデザイン系の企業の内定者ポートフォリオ
●クリアファイルが多い
・・・IT系や3D系、ゲーム会社の内定者ポートフォリオ

中にはWEBポートフォリオのみで選考を終え、印刷したポートフォリオは一度も使わなかったという方もいるそうです(IT系、映像系の場合)。印刷・製本のコストがカットされれば、かなり節約になりますね!企業によるため一概には言えませんが、参考にしてみてください。

また、筆者もそうですが、紙ポートフォリオと別にWEBポートフォリオも用意しておくと便利です。筆者やこの後ご紹介するお二人の先輩は、「ViViViT(ビビビット)」を併用していました。紙のポートフォリオはどうしても作るのに時間がかかるので、簡単に用意できるWEBポートフォリオも作っておきましょう!

ViViViTについて詳しく知る


▽PICK UP!先輩のポートフォリオ費用

筆者の場合(キャラクター業界・WEB広告業界・IT企業にエントリー) 


1.費用の内訳
印刷と製本は印刷会社に全て任せました。
4冊制作で¥13000

2.装丁方法
表紙・本文 :本文サテン金藤・表紙厚めのマット紙
特殊加工  :表紙グロスPP加工・くるみ製本

3.印刷会社
キンコーズに依頼しました。入稿から受け取りまで、ちょうど24時間程度で作っていただきました。

■山田さんの場合(グラフィックデザイン制作会社・WEB広告代理店にエントリー)

1.費用の内訳
紙代  :¥2000/1冊
印刷代 :自宅で印刷 総額でインク代2~3万
製本代 :¥500/1冊
10冊制作で¥60000

2.装丁方法
表紙・本文   :基本はマット紙・遊び紙でミランダやトレーシングペーパー・クリアフィルム表紙
特殊加工・製本 :スタンピングリーフで箔押し(セルフ)・裏表紙追加・シェア製本

3.印刷会社
印刷は自宅プリンターで、製本はキンコーズに依頼しました。

▶山田さんのポートフォリオをくわしく見る!


■荒明さんの場合(パッケージデザイン業界を中心にエントリー)

1.費用の内訳
紙代  :¥1000~¥2000/1冊
印刷代 :自宅で印刷(インク代は詳細不明)
製本代 :¥500/1冊
7冊制作で¥10500~¥17500+インク代

                         
2.どんな装丁か
表紙・本文   :本文厚めのマット紙・トレーシングペーパー・クリアフィルム表紙
特殊加工・製本 :リング製本

3.印刷会社 
印刷は自宅プリンターで、製本はキンコーズに依頼しました。
自宅プリンタや学校プリンタが使えると、融通が効き安く済むと思います。私もその分扉ページの紙をこだわったり、費用を抑えたりできました。

▶荒明さんのポートフォリオをくわしく見る!

(3)スーツ一式

¥20000~¥80000

良いものを選べば、上限はいくらでもありますよね。
個人的な意見ですが、クリエイター就活に絞るのであれば、スーツにはあまりお金をかけくても問題ないと思います。なぜならば、最近のクリエイター就活はほとんどが私服でも可能だからです。むしろ普段の姿が見たいという意図で「私服で来てください」と指定する会社も少なくありません。筆者や周囲の美大生の話を聞いていても、入学式のものを再利用したりフリマサイトなどで安く手に入れたりしている人が多いです。
もちろん中には説明会からスーツが必要な会社もあるので、用意しておくに越したことはないですが、先輩などに受けたい企業の選考でスーツが必要になるか聞いておくと良いでしょう。

(4)証明写真

¥600~¥15000

こちらは証明写真ボックスから、プロにメイクから撮影まで頼むものまでさまざま。筆者はプロにお願いしましたが、証明写真こそクリエイターであれば節約したい箇所でもあります。大学の撮影ブースを利用し、一眼レフをレンタルして撮影、Photoshopで明るさ調整……学生同士で協力し合えば、自分たちで証明写真を用意するのも難しくありません。また、クリエイター就活では何十社も選考を受けるパターンは少ないので、焼き増しの費用もさほどかかりません。

(5)交通費

県をまたぐ移動
¥5000~60000/1回につき
県内の移動
¥1000~/1回につき

交通費は基本的に、説明会の時点では支給されないと考えておきましょう。面接でも、出してもらえる企業とそうでない企業さまざまです。
受ける企業と自宅の距離によって随分と変わりますが、飛行機や新幹線を利用すると高く、高速バスや在来線を利用すると安くすんだりと、手段を選べば節約は可能です。ですが、特に安い高速バスはなかなか寝付けなかったり、身体を痛めたりとデメリットも多く、ここぞという時にはオススメしない移動手段です。移動中に体調を崩してしまっては本末転倒なので気をつけましょう!

▼地方〜東京間の遠征就活については、こちらの記事でもご紹介しています!

就活・インターンの季節!地方美大生のための東京遠征ガイド

(6)宿泊費

¥3000~¥10000

東京や大阪などの主要都市の学生の一泊の相場は大体このくらいです。連泊したり、場所やホテルによって値段は上下しますが、治安の面でも¥5000以上の宿に泊まることをオススメします。最近は安価で綺麗なカプセルホテルなども充実しているので、そちらを視野に入れるのもよいでしょう。

(7)雑費

¥2000〜 /都度

履歴書や食事代、書類の郵送費など、意外なところで細々としたお金がかかります。


トータルでいくらかかるの?

住んでいる都道府県内で就活する場合、交通費はそこまでかからないためトータルで安くて(スーツを買わない・証明写真を安く済ませる・ポートフォリオを製本しないなど)¥20000程度、高くて¥100000程度を目安にしておきましょう。
住んでいる都道府県をまたいでの就活となる場合は交通費と宿泊費がかかるため、一度の遠征につきここから¥20000程度プラスされると考えておきましょう。

2.かかるお金は把握できたけど…どうやって貯めよう?

クリエイター就活にかかる予算感を把握出来たでしょうか?比較的時間に余裕のある下級生のうちに就活資金を貯めておくと、土壇場で困ることもなく、スムーズに就活を進められるでしょう。就活費用を稼ぐ手段を挙げてみました!

アルバイト

一番無難なこの方法。筆者はスキルアップにもつながるIT企業の就業インターン、本メディア「はたらくビビビット」でライターインターンと、生活・お金目的で飲食店のアルバイトをしていました。複数していたおかげか、ある程度お金には余裕をもって臨めたと思います。

インターンシップ

お金を稼ぐ方法として一番オススメなのはこちらです。クリエイター志望の学生だからこそ、現場で学びながらお金を稼げると合理的ですよね。通常のバイトの平均以上にお給料が設定されている企業もあります。働ける時間も長いので、スキルアップしてポートフォリオに入れる作品を作れると同時に、お金まで溜まっていた……なんてことが可能なのです。

▼クリエイティブ企業のインターンシップ情報は、ポートフォリオサービス「ViViViT」でも見つけられます。気になる方はぜひチェックを!
インターンシップ2019


親族に借りる

生活費で精一杯で、どうしてもお金が足りない……そんな時は、事情を説明して親族に援助してもらうのも手段の一つです。本来制作や就活に費やす時間をアルバイトで消費しては元も子もありません。新卒での就活は限られた時間であるからこそ、自分に一番ベストな選択をしましょう。

3.実際にいくらかかった?先輩に聞いてみた

住んでる地域や受けたい業界によって、就活にかかる予算はさまざまです。実際に2020年新卒採用で就活を行った先輩4名に、実態を聞いてみましょう!


■コメント

●証明写真は、一般企業も受けるつもりでいたのでスタジオで撮りましたが、いまいち違いが判らず、また修正などもPhotoshopを使えば自分でできることなので、もっと安くできたなぁと後悔しました。内定を頂いた会社も、証明写真はいりませんでした。

●スーツは使いまわしてよかったです。デザイナー職の選考はとにかく「私服可」なところが多いです!

●ポートフォリオの製本はお金をかける価値がありました。最初はB3のファイルで作成し、ブラッシュアップを重ね、最終的にはキンコーズでオンデマンド印刷を頼みました。面接の際に「お!製本してる~」との声を頂くこともあったので、そうしてよかったです。

こちらは筆者自身のケースです。交通費は後から計算してみると思ったよりかかっていましたね……





■コメント
●就活費用は、東京の会社でのインターンシップから捻出しました。3社のうち2社が有給だったのですが、就活費用はすべてそこからまかなうことができました。また、3社とも交通費を支給してくれたため結果的にプラスになり、就活前にアルバイトで貯めていた20万円は使用しませんでした。

●受ける先が遠方になりそうな場合は、あらかじめ交通費として10万円ほど貯めておくのをオススメします。自分の場合、関東と関西の企業を受けていたため、複数回の面接で移動費用がかさみました。交通費を出してくれる企業かどうか調べるのも必要かもしれません。

●動画・CG系なら、ポートフォリオの製本はあまり必要ない気がしました。だだし、Webサイトやタブレットで動画を見せられる環境を整えておきましょう。

交通費だけで20万円も!?やはり移動距離が長いとお金がかかりますね……。職種によってはポートフォリオをWebに絞って節約するのも手のようです。受ける企業・業界についてしっかりリサーチしておきましょう!




■コメント
●関東在住ですが関西の企業も受けていたので、交通費は思っていた以上にかかりました。お年玉やバイト代を貯めていたものを使いました。
●ゲーム会社以外も受けていたので、ポートフォリオはファイルの状態で2種類、製本で3種類作りました。大学で印刷したので、製本のみを印刷会社(キンコーズ)に頼んで安く済ませられたと思います。
●スーツは入学式の時のものを使用しましたが、着る機会はほとんどなかったです。

複数業界を受ける場合は、ポートフォリオも別々につくっていたのですね。その分費用もかかるので、お正月は遊ぶのをガマンして、就活のために貯めておくのが良いのかもしれません。





■コメント
●費用の一番の負担はやはり交通費でした。就活期はアルバイトもほとんどできないため収入もなく、貯金も多い方ではなかったためなかなか大変でした。
●交通手段を高速バスにしたり宿泊手段をドミトリータイプのホテルにしたりして節約しました。交通費に関しては、二次面接以降は企業が負担してくれる場合が多かったので、自己負担したのは説明会(セミナー・ミートアップ)~1次面接までです。
●ポートフォリオはデータと紙媒体のもの(A3ファイル)を用意し、面接に毎回持参していました。印刷は学校で行ったため、インク代や印刷費用の自己負担はありませんでした。
●証明写真はスタジオで撮影したものを購入したのですが、“現像版”と“データ版”の両方用意できたのが便利でした。エントリー時に履歴書をデータで送り、面接時に紙の履歴書を持参する企業が多かったです。
●おおよそが私服でしたが、ビジネスカジュアルっぽい服やバックは少し購入しました。

詳細までありがとうございます!やはり地方での就活では交通費がとにかくかかるんですね。ホテルをドミトリーで節約など、かなり参考になります!

● 最後に

就活費用について、なんとなくイメージがついたでしょうか。思っていた以上にお金がかかる……と感じたかもしれません。
筆者の場合は、説明会や面接が終わる度にご褒美!としてその地域でおいしいランチなどを巡っていたため、そういった点でもお金がかかっていました(笑)。クリエイター就活は受ける社数が多くて10数社など、総合職の就活に比べると少ないと言われています。しかし、ポートフォリオ作りや選考課題制作など、諸費用がかさみがちなのも事実です。忙しくなるとアルバイトの時間もとれなくなってしまうので、早めに貯めておくのが何よりの策だと思います。
これを読んでいる後輩の皆さん!一番もったいないのは、金銭面を理由にポートフォリオのクオリティを下げたり、受ける企業を狭めたりすることです。毎月1万円、数千円ずつでも貯金に回しておいて、就活の不安要素を少なくしておきましょう。
皆さんの就職活動を応援しています!


(2019.9.27)

著者

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楠みなみ

多摩美術大学在学中。イラストを使用したさまざまなデザインを制作しています。 癒しキャラが好きです。

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