本記事では、コンサル企業のデザイナーに内定した筆者(デザインを学ぶ大学生・Sun)が、第一志望を始めとした選考の中で重要だと感じた、【企業研究を元にしたポートフォリオ制作】について解説していきます。これからポートフォリオをつくる方、ポートフォリオ提出から次へ進めない就活生の参考になれば幸いです。
執筆 Sun / 編集 YOSHIKO INOUE
目次
目次
- はじめに
- 企業研究でこれだけ変わった!Before/After
- 企業研究でこれだけ変わった!Before/After
- 企業研究をポートフォリオに反映するには?
- 最後に
はじめに
私は大学でデザインを中心に学びながら、フリーランスとして独立を模索して展示などの活動をしていました。就職も考えはじめ、制作会社や広告代理店を受けようと思っていましたが、説明会参加をきっかけにコンサル企業が第一志望に。大学3年生の11-12月頃にViViViTで説明会への招待を受けたのがきっかけでした。
志望企業が決まる以前のポートフォリオは、フリーランス志望だったこともあり「企業研究」を取り入れる意識は全くありませんでした。しかし、志望企業が決まってから作り直したポートフォリオでは、企業へのリサーチ いわゆる「企業研究」の影響を大きく受けており、それが内定獲得に効果的だったと思っています。
「就職」を希望する方は特に、「提出する相手である“志望企業”」への意識がとても大事だと思います。私の例をぜひ参考にしてください。
企業研究でこれだけ変わった!Before/After
就活におけるポートフォリオでは、「自分のための作品集」ではなく「提出企業に向けて自分を伝える資料」という意識が必要です。まずは私が実際に作成したポートフォリオを参考に、企業研究を取り入れる前後をご覧ください。
Beforeのポートフォリオは就活を意識せず、ゼミを選ぶ際に教授へ提出することを目的として作成したものです。今思うと、ただ画像をまとめてみたという印象を受けます。
Afterのポートフォリオでは、就活を意識し、後述の「企業研究でするべきこと/ポイント」で得た情報を取り入れ、自分なりにポートフォリオへと反映させました。第一志望に内定をいただけたポートフォリオです。
具体的にどのようなことをブラッシュアップに取り入れたのか、まずは企業研究として具体的に行ったことを解説します。
企業研究の仕方とポイント
➀企業説明会に参加する
企業説明会はその名の通り企業の説明会です。オンラインや対面形式で、企業側がまとめた情報を得ることができます。クリエイティブ職(デザイナーなど制作系職種全般を指します)向けの説明会を開いてくれる企業もあるので、その場合はどちらも参加することをおすすめします。クリエイティブ職に特化していない説明会では、会社全体について詳しく知れる説明に時間を割かれることが多いです。
【企業説明会ではここをチェック!】
・会社のビジョン
・クリエイティブ職の業務内容
・求める人物像
・登壇者が繰り返し使っている言葉
例:「(広告系の場合)媒体の違い」「課題解決」等
➁企業ホームページを読み込む
企業ホームページは企業の顔。基本的なことはホームページに書いてあるので隅々まで何度も読み込みましょう。企業によっては企業サイトの他に、採用サイトも設けている場合があるのでどちらも繰り返し読み込みましょう。
企業説明会の前に一度ホームページに目を通しておくと、理解が深まるのでおすすめです。ホームページには情報がたくさん載っていますが、説明会ではその中からピックアップした情報が得られるので、「その企業ではいまなにを優先して学生に伝えようとしているのか」を読み取ることができます。
【ホームページではここをチェック!】
・ビジョン、メッセージ
・制作実績
・公開している資料やレポート
ViViViTを使うと、クリエイティブ企業の情報収集をまとめて行うことができます。私が気になった企業をいくつかピックアップします。参考にしてみてください!(2024年7月時点)
面白法人カヤック
https://www.vivivit.com/portfolio/organizations/110
株式会社MIXI
https://www.vivivit.com/portfolio/organizations/453
株式会社All Ads
https://www.vivivit.com/portfolio/organizations/1876
➂企業の口コミサイトを見る
口コミサイトは、主に就活生による口コミと元/現社員による2種類があります。就活生による口コミでは、他の就活生の実際の選考体験などを見ることができます。元/現社員による口コミでは、現場で働いている社員の本音を探ることができます。ホームページに書いていないことや、説明会では聞けないリアルな情報を得るために活用していました。
クリエイティブ職の口コミは探してもあまり見つからないことが多いですが、他の職種の情報でも企業全体の理解を深めるのに参考になります。
【企業の口コミサイトではここをチェック!】
・他の就活生がしている選考対策や企業研究(他職種のものも参考にできます)
・社内でよく使われていそうな言葉(社内の共通言語として用いられていそうなものは意味がわかるようにしておきましょう)
➃OB/OG訪問をする
OB/OG訪問が出来る環境であれば積極的に参加することをおすすめします。私は所属している大学の先輩に志望企業へ入社した方がいなかったため行っていませんが、同じ学校の先輩だからこその情報や、ES、ポートフォリオのアドバイスなども受けられることがあるそうです。
企業によっては選考過程において社員へのOB/OG訪問を重要視するケースもあるので、合わせて確認をしておきましょう。
【OB/OG訪問ではここをチェック!】
・専攻分野で学ぶ内容との相違や実務におけるマッチング度合い
・専攻分野の強みとしてアピールすべきポイント
➄質問会/座談会などに参加する
会社説明会の他に質問会や座談会などイベント形式のものを開催してくれる企業もあります。会社説明会よりもカジュアルな雰囲気なことが多いです。自分の持つ興味や理解しきれていない部分に対する深堀りが可能です。
【質問会/座談会ではここをチェック!】
・登壇者のキャリア
・自分の質問にどう回答してもらえるか(事前に質問を用意をしておきましょう)
こちらも、2024年7月時点で申し込める採用イベントをViViViTで探してみました。
株式会社アドウィズ|広告ディレクター座談会
https://www.vivivit.com/job-postings/10827
Sansan株式会社|Sansan Creators Talk Live
https://www.vivivit.com/job-postings/10946
企業研究で得た情報をポートフォリオに反映するには?
すでに就活中の方であれば、前述した企業研究の内容はすでに行っているかもしれません。あるいは当たり前だと感じたのではないでしょうか?
そう感じたのは正解です。
しかし、企業研究で得た情報をポートフォリオ制作に有効的に活用できている人は少ない印象があります。企業研究を踏まえ、まずはこの2点を見直してみてください。
①作品の順番は、実際の業務が想定されているか?
企業研究を行うと、段々と実際の業務への理解度が高くなると思います。その理解した業務内容とマッチした作品をポートフォリオの冒頭に載せましょう!面接では第一印象が命と言われることがありますが、それはポートフォリオも一緒。第一印象で好印象を与えられるような順番を模索しましょう。
就職活動をするにあたって、微妙に業務内容が異なる企業を受ける場合もあると思います。その場合、提出先の企業に合わせて作品の掲載順を変えるのもテクニックです。
②企業研究で得た企業の雰囲気とマッチするポートフォリオになっているか?
今一度、企業研究で得た情報を確認しましょう!「この言葉がよく使われていた気がする。」「この企業を表す言葉はこの言葉。」そういったキーワードが見えてきませんか?
その言葉をキーワードとして、ポートフォリオ全体の方向性を定めていくと、より志望企業にマッチしたポートフォリオに近づくはずです。
例えば、Web広告系のデザイナーを志望していて、「ディティールにこだわる」という印象や情報を得たとします。その場合、「ディティール」をコンセプトとして、ディティールにこだわったことを表現する解説画像などを入れ、企業理解を示すのもひとつのテクニックです。
-筆者の例
私自身が企業研究を踏まえてポートフォリオに取り入れた内容を解説します。
①制作過程も掲載する
企業説明会に参加した中で、登壇者の方が何度も「ゼロベースからデザイナーとしてサービスをデザインしていく」ということを仰っていました。なので、作品が完成した後の画像のみならず、制作過程や制作に至るまでを記載しました。ラフを掲載するのも考えが伝わりやすくて良いかもしれません。
②スキルレベルを記載する
業務内で多くのツールを使用することがわかり、自己紹介ページにスキルレベルを可視化した図を取り入れました。意図としては、自己評価と客観的な評価でスキルレベルに乖離が起きることを防ぐためです。
③志望企業に最適な表現を取り入れる
説明会や質問会を通して、登壇者の方の言葉の節々から「作品の完成度」よりもどうしてその作品に至ったのかという「思考部分」を評価する雰囲気を感じとりました。
そのようなところからもヒントを得て、既存のポートフォリオから「思考を伝える」ということをコンセプトとしてキャプションを加えるなど、さまざまな部分から個人的にヒントと思う部分を探して、制作へと反映させました。
最後に
「企業研究を元にしてポートフォリオへと反映するフロー」は、デザインと一緒だと考えています。デザインを学んだ方なら、リサーチやヒアリングを元に制作物を作った経験はあると思うので、ぜひいつもの制作物を作るイメージでポートフォリオを始めとして、与える印象なども含めトータルデザインしてもらえれば良いと思います。
また、今回紹介した企業研究のやり方部分は面接を行う際にもとても効果的なので、ちょっとめんどくさいなと思うかもしれませんが、先にやっておくと後々楽になります。これからポートフォリオを作成するという就活生や、絶賛就活中の方など、大変忙しい最中だと思いますが、自分の目指す理想を叶えるために一緒に頑張りましょう!
(2024.6.20)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア