みなさんは海外旅行に行った時に、現地の鉄道や地下鉄を利用しますか?「行きたい観光名所がいっぱいあって、時間が足りないくらい!」「駅を見る時間なんてないよ!」という方が多いかもしれませんが、駅舎を見に行きたくなるくらい、世界には魅力的で個性的なデザインの駅が沢山あります。そこで今回は、海外の個性的なデザインの駅をご紹介いたします。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO
目次
●作品に登場する駅たち
●個性的なデザインの駅の紹介
・最後に
●作品に登場する駅たち
サン・ラザール駅(La Gare Saint-Lazare)
タイトルに「サン・ラザール駅」と名付けられたこの有名な絵画は、印象派を代表する画家であるクロード・モネによって描かれたもので、現在でもフランスのパリ市内には、このサン・ラザール駅が存在します。
実は、この絵画が収蔵されているオルセー美術館も、実際にオルセー駅として使用されていた駅舎を、美術館へと改修したもので、美術館自体に駅舎独特の雰囲気を感じ取ることができます。
▼オルセー美術館
<引用 | https://ja.wikipedia.org/wiki/オルセー美術館 >
キングス・クロス駅
<引用 | https://ja.wikipedia.org/wiki/キングス・クロス駅 >
キングス・クロス駅は、世界的に人気でファンも多い「ハリー・ポッター」シリーズの、映画「ハリー・ポッターと賢者の石」でハリーがホグワーツ魔法学校へ向けて出発する駅のロケ地として使用されたことから、一躍有名な駅となりました。物語に出て来る、「9と4分の3番線(PLATFORM 9 3/4)」も実際に再現されていて、自分たちで登場人物になりきって写真が撮れる、人気スポットとなっています。
●個性的なデザインの駅の紹介
美麗島駅(メイリーダオ・えき)
美麗島駅は、台湾南部高雄市新興区にある地下鉄の駅で、2008年に完成しました。天井に広がるドーム型のステンドグラスの作品は、イタリア出身のアーティストである ナルシサス・クアグリアータ(Narcissus Quagliata)氏によってドイツで制作されました。約4500枚ものガラスが使われている作品は、台湾まで運ばれ、クラフトマン(職人)によって4年ほどかけて手作業で設置されました。「光之穹頂(The Dome of Light)」と名付けられたこの作品は、「水・光・土・火」の4つのテーマが表現されていて、テーマを表現する魚や人間がモチーフとなり、巡るように配置されています。
ストリートビューで周辺を見てみよう!
ブルジュマーン駅(محطة برجمان)
<引用 | https://ja.wikipedia.org/wiki/ブルジュマーン駅 >
ブルジュマーン駅は、アラブ連邦共和国の首都、ドバイにあるドバイメトロの駅のひとつで、大きなクラゲと呼ばれている大きなオブジェは、「Lasvit」というデザインやアートを手がける集団によって作られました。世界中の多くの場所で、ガラスや照明を使った彼らの作品を目にすることができ、ブルジュマーン駅のものは、「Water」というタイトルがつけられており、海をイメージしている作品となっています。開発や施工には日本の大手企業が関わっています。
ストリートビューで周辺を見てみよう!
トレド駅(Toledo metro station)
<引用 | http://one-project.biz/2012/12/21/art-station-line-1.html >
トレド駅は、イタリアのナポリにある、地下鉄の駅の一つです。「芸術の駅 (Stazioni dell'Arte)」という、暗い雰囲気である地下鉄の駅舎をアート作品で埋め尽くそう!という運動で、多くの駅に様々なアーティストの作品が展示されています。この画像のトレド駅の一角は、「カテドラル(大聖堂)」というインスタレーション的な作品が広がっており、芸術家Oscar Tusquet Blanca氏によって作られました。タイルを使用し、模様やモチーフを表現する、モザイク画という手法を用いており、美しいグラデーションとなって見えるのが特徴です。
アントウェルペン中央駅(Gare d'Anvers-Centra)
<引用 | https://ja.wikipedia.org/wiki/アントウェルペン中央駅 >
アントウェルペン中央駅は、ベルギーのアントウェルペンにある、ベルギー国鉄が運営している鉄道の駅のひとつです。ベルギーの建築家ルイ・デラサンセリ(Louis Delacenserie)氏設計で、1905年開業された、建設から100年以上という、歴史も兼ね備えた駅になります。伝統的な素材である大理石や、当時の最新技術であった鉄、ガラスなどが大量に使用されており、ヨーロッパの大聖堂を思わせるような豪華な造りとなっています。よく観察してみると、細部にもアール・ヌーヴォーの要素が盛り込まれていて、細かな造りにも注目したい駅舎となっています。
ストリートビューで周辺を見てみよう!
コムソモルスカヤ駅(Комсомольская)
<引用 | https://wired.jp/2017/01/13/palaces-and-metro-stations/#galleryimage_26 >
コムソモルスカヤ駅は、ロシアの首都であるモスクワにある、1935年に開業したモスクワ地下鉄の駅の一つです。ドミトリ・チェチューリン(Дмитрий Николаевич Чечулин)氏による設計で、ヨーロッパの宮殿内を思わせるような豪華絢爛な造りになっており、到達地が見えないほどの長いエスカレーターで、地下の奥深くにプラットフォームまで行けるような構造となっています。いざという時のための防空壕のような役目がある、というような噂も……!
ソルナ・セントラム駅(Solna Centrum)
ソルナ・セントラム駅は、スウェーデンの首都、ストックホルムにある地下鉄の駅の一つです。このむき出しの岩肌と、赤い色が合間って、「地獄」とも評される駅舎が特徴です。スウェーデン市内の約100ヶ所ほどの地下鉄の駅構内は、それぞれ異なったテーマの作品で彩られていて、洞窟内のような造りの天井や壁にそのまま作品が描かれているので、今までに見たことがない独特な空間を味わうことができます。
●最後に
個性的なデザインの駅を国内編・海外編と分けてご紹介しました!
日本のユニークな駅は戦後に作られたものが多く、建築家が空間や建物をデザインしているのに対し、海外の駅は、長い間かけて作られた、立派で伝統的な駅舎を使っており、もともとある駅の施設をアーティストの表現力で、さらに魅力的なものへと造り変えていっているように思います。双方に良さがあり、文化の違い、国を取り巻く環境、歴史の違いを感じて、駅ひとつとってみても、なかなかおもしろいな……と筆者は感じました。
前回書いた「一度は訪れたい!個性的な駅のデザインを知ろう|国内編」を合わせて読んでみると、また新しい発見や、興味深く感じることが増えると思いますので、ぜひ目を通してみてください!
(2017.9.28)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア