転職体験の未来とキャリアアップを語る。「UX MILK Fest 2019」セッションレポート

2019年9月14日(土) 、株式会社ビビビットのセミナールームにて「UX MILK Fest 2019」が開催されました。今回は当日のコンテンツより、これからの転職体験についてのトークセッションをレポートします。
転職経験の豊富なデザイナー3名を招いて行われたこのセッション。キャリアアップの参考を求めて多くのデザイナーが会場に訪れましたが、一体どんなヒントが得られたのでしょうか?
編集・執筆 / KIMURA, YOSHIKO INOUE

“UX MILK Fest 2019” 実施要項


「UX MILK Fest 2019」はデジタル業界におけるUXデザインに関わる人が共に考え、語り合い、つながるためのUXデザインフェスティバルです。お祭りのような楽しい雰囲気の中で、参加者が「UXデザイン」についての思考を深められる一日となりました。

【日時】2019年9月14日(土)11:00-19:00 (※イベント終了)
【場所】ビビビットセミナールーム(住友不動産新宿グランドタワー27F)
【主催】UX MILK(株式会社メンバーズ)、株式会社ビビビット


● セッションレポート
「これからのデジタルデザイナーのキャリア 〜転職の体験を考える〜」

登壇者

楠 薫太郎くすのき しげたろう

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部ゲーム事業部Develop統括部デザイン部 副部長 兼 DeNA Games Tokyo 取締役
経験社数:現在で6社目

佐藤 貴明さとう たかあき

パーソルキャリア株式会社 プラットフォーム事業本部
プロダクト本部 プロダクト開発統括部 UXデザイン部 クリエイティブグループ
シェアフル株式会社 マーケティンググループ
経験社数:現在で5社目(4社目と兼務中)

名越 慎なごや しん

楽天株式会社
ECインキュベーション開発部 C2Cサービス開発課
サービスデザイングループ UI/UXデザイナー
経験社数:現在で6社目

ファシリテーター

小宮 大地こみや だいち

株式会社ビビビット
代表取締役社長
親会社セプテーニ・ホールディングスの人事を経て、株式会社ビビビットを立ち上げ

もくじ

●転職経験の豊富な3名。これまでのキャリアパスとは?

ビビビット小宮:
本日はよろしくお願いします!まず始めに、皆さんのキャリアパスについて教えてください。

▼楠さん

楠さん
僕は4年制大学の商業学科出身なんですが、就活が始まる学部3年次に就活が嫌すぎて(笑)、別のことをしたいと思ったのがデザインの仕事に関わるきっかけですね。響きがかっこいいという理由でデザイン業界に飛び込みました。
一番最初のキャリアはアルバイトです。「未経験・パソコン初心者歓迎」の求人雑誌に応募し、パチンコのチラシやポスターを作る会社でPhotoshopやIllustratorの使い方を身につけました。

その後の転職は、基本スキルベースです。紙の次はWeb、Webと紙ができるようになったから次は音楽の業界だな、とか。自分の興味や人からの誘いが主だったので、「転職するための軸がある!」というよりも行き当たりばったりのキャリアパスかもしれません。
現職のディー・エヌ・エーも、先輩からの紹介です。当時はフリーランスでしたが、「ディー・エヌ・エーという勢いのある会社がある」と教えてもらって話を聞きに行ったのが始まりでした。

▼佐藤さん

佐藤さん
大学時代は映像の勉強をしており、自主映画などを作っていました。新卒ではテレビ番組の制作会社に入社し、2社目でWEB業界に入りました。2社目へ転職する際、転職エージェントの方に制作会社でのディレクション経験は別の場所でもいかせると勧められ、WEBディレクターに転身しました。

Webディレクターとして働いているうちに、自分の手でデザインをしたいと思うようになって。半年間働きながら社会人学校に通いました。卒業後は転職活動を行い、制作会社のアシスタントデザイナーとして2年ほど幅広くデザインを担当しました。その後が今の会社です。
現在はパーソルキャリア株式会社に所属しつつ、兼務で別領域のサービスのデザイナーもしています。2社に所属して、2つの仕事を掛け持っているかたちです。


▼名越さん

名越さん
僕は中学生の時からWebデザイナーになりたいと思っており、デザイン学部のある大学を卒業後、東京のクライアントワークをやっている制作会社に就職しました。そこではバナーやLP作ったりコーディングもしましたが、入って4ヶ月くらい経ってから「なんか違うな」と思って辞めました。
2社目として誘われたのは学生時代のアルバイト先で、新卒時には内定を辞退していた制作会社です。しかし入社後5ヶ月くらいで体調を崩してしまったため、その会社も辞めて地元札幌にある制作会社に移りました。

3社目の札幌の制作会社に勤めてから1年半くらい経ったとき、2社目の会社から「札幌オフィスができるから来ないか」という話をもらって。気にかけて声をかけてくれる社長への感謝もあり、その会社に出戻りしました。そこで2年ちょっと経験し、今は楽天株式会社にいます。ずっとクライアントワークのデザイナーとして働いていたので、今度はひとつのプロダクトに向き合いたいと思い転職しました。

ビビビット小宮:
新卒入社した会社を4ヶ月で辞め、27歳5社目……一般的にはなかなか受かりづらい条件ですね(笑)。

名越さん
はい、実は現職の楽天株式会社に転職する際の転職活動でも数十社に応募して、そのうちの半分くらいは書類で落とされました。この実体験は皆さんにお伝えしたいですね(笑)。

【ここまでのまとめ】
楠さん・・・そのときに伸ばしたいスキルや、人のつながりがきっかけで転職
佐藤さん・・・ライフステージの変化とともに、必要に応じての転職
名越さん・・・クライアントワークを経て、ひとつのプロダクトに向き合うために転職

●転職は焦りすぎないで!会社はじっくり見極めよう。

ビビビット小宮:
そもそもですが、デザイナーの転職って、どんな心理状態やシチュエーションのときに行うと良いと思われますか?

▼株式会社ビビビット代表の小宮

楠さん
転職の理由は、ネガポジどちらの感情もあって良いと思っています。ポジティブなところでは明確にやりたいこと・好きなものがある、解決したい課題があるなど、熱量が生まれているときですね。もう一方はライフステージの変化など、やむを得ず転職しなきゃいけないときです。
生きていく上で仕事って多くの時間を費やすので、そういうときこそ会社を冷静に見極めることが大事かなと思います。

佐藤さん
そうですね。つらいことには無理に真正面からぶち当たらなくても良いんじゃないかなと思います。ただデザインと同じで、手段が目的になってはいけないと思います。「転職したい」から始めるのは危険だと感じますね。

ビビビット小宮:
ありがとうございます。ではいざ転職活動をしようというとき、気をつけた方が良い心持ちなどはありますか。

名越さん
僕は「焦らないこと」だと思います。楽天株式会社に転職する前は、自分の力を見極めたりポートフォリオを作ったりする時間を捻出してました。良い転職をするために、準備は怠らずしっかり土壌づくりしておいた方が良いと思います。

佐藤さん
「焦らない」は本当にそうですね。自分はライフステージの変化で必要に迫られての転職が多く、焦ってしまったこともありました。直近の転職活動では最終的に弊社から内定をいただけましたが、危うく、年収がほぼ変わらない会社に決めてしまうところでした。今の会社を選ぶことができたのは、一度冷静になって考えることができたからだと思います。

ビビビット小宮:
株式会社 DeNA Games Tokyoで取締役というポジションにいらっしゃる楠さんには「社内のキャリアアップ」という観点でもお話を伺いたいです。クリエイター入社からスタートしてなぜそういったキャリアアップができたのでしょうか。

楠さん
取締役という経営のレイヤーに入れたのは、事業をちゃんと理解してデザインの仕事をしていたのが大きいと思います。最近はプロダクトを作るにあたりデザイナーが根幹から入る時代になってきていますが、業界全体で見るとデザイン工程が後になる文化も残っていると思います。
僕はわりと早い時期からプロダクトやサービスを理解し、企画段階から入る意識をしていました。そういう動きがきっかけで会社の戦略にもデザイン的な思考が取り入れられてきたので、経営層から声をかけてもらえたのかなと思っています。

ビビビット小宮:
取締役として面接をする場面もあると思いますが、面接する側として感じることはありますか?

楠さん
面接をするときは、「なんでうちの会社を選び、受けてくれているのか」というところがやっぱり気になります。お金などの条件も大事ですが、会社の事業内容をきちんと理解して選んでほしいです。
実際、僕自身そこにミスマッチが生じ、入社した後「なんで採用されたんだろう」と思うくらいデザインの仕事がなくてつらかった経験があって。そこはすごく重要だなと感じます。

【ここまでのまとめ】
・転職はやりたいことベースで考えよう
ポジティブな理由でもネガティブな理由でも、やりたいことができる会社を見極めるべき。転職自体が目的にはならないように気をつけよう。

・焦らずに準備しよう
我慢は良くないけど、焦りに身を任せて行動するのもキケン。ポートフォリオづくりや基礎スキルを培うなどの準備時間も大切にしよう。

・事業を理解して会社を選ぼう
条件も大事だけど、会社が“何を”“どう”行っているかを理解して会社を選ぼう。(でないと入社後自身がつらいかも……!)

●「無形のデザイン」が求められる今、必要なのは思考力。

▼会場の半分以上の方は転職経験があるということで、セッションは「今後どうやってキャリアアップしていくか」にフォーカスして進む。

ビビビット小宮:
近年、デザインやクリエイティブが求められる環境が変わってきているなと感じます。今後クリエイターの価値が上がる領域もあれば、逆に停滞する領域もあり得るため、ジャンルや業種の選択を間違えると危険かもしれません。キャリアアップのため、事業に対して持つべき視点などがあれば教えていただきたいです。

楠さん
クリエイターの価値としては、プロダクトやサービスそのものがデザインできることがマストの条件になっていますね。例えば募集要項に書いてある「Photoshopの経験3年以上」などは、意味がない時代になってきていくのかなと。
UXという言葉か前から流行っているように、体験をデザインする思考力、物事を深く考える力などがすごく求められています。

僕は今ゲーム開発の事業部に所属していますが、開発は大規模になっていて、一人ひとりの担当する領域がとても分業化されています。そういう意味ではクリエイターの価値は薄まっていると感じます。今後AIが進化していくと、いまデザイナーと呼ばれている人たちが生活できなくなることもあるかもしれません。そこに関しては危機感を持っています。
だから先程申し上げたように、プロダクトやサービスのできるだけ起点の部分に参画するように心がけて、早い時期からチューニングしていく動きが大切かと思います。

名越さん
僕はUI/UXデザイナーではありますが、仕事の半分くらいは一緒に働いているスタッフの作業効率を上げたり仕事上での体験をより良くしようと考えたりする部分なんです。
UI/UXだからといってプロダクトのみに絞らず、プロダクトを取り巻く全ての環境をデザインする、デザイン的な思考を用いて何かを解決していけることが今後のデザイナーに求められていくと思います。デザインだけじゃなく「誰かをサポートしてあげたい」という視点も大切なのかなと思いますね。

ビビビット小宮:
キャリアアップを考えると、クリエイティブやデザインの価値を広い意味で信じ、デザイナーにいろんなことを任せてくれる会社を選んだ方が良いかもしれませんね。

ビビビット小宮:
最後の質問です。「フリーランス」や「副業」というものが最近キーワードとしてよく登場しますが、会社に所属しつついろんなコミュニティに属したり、副業したりすることに関してはどう思われますか?

楠さん
絶対やったほうが良いです。体験の種類は多ければ多いほうが良いと思うので、機会があればチャレンジするべきです。
それから副業は自分のキャリアの写し鏡にもなりますね。僕がフリーランスをやっていた当時はクライアントワークの制作を中心にいただいていましたが、今ではマネジメント方面の話をいただいたりします。そのときの自分が周りにどう写っているのかをダイレクトに確認できる体験です。

佐藤さん
できる環境にあるのならばどんどんやって良いと思います。ただし、個人で受ける仕事にはスキルが明確に求められることに注意してほしいです。「この人に任せれば大丈夫だな」とか「この人と一緒に仕事をしたいな」と思われ続けるためには、やはりスキルを高めていかなければいけないですよね。自分の中で必要なスキルを培った上で、自由かつ柔軟にチャレンジするのが良いと思います。

名越さん
前職時代は副業活動もしていたのですが、あるとき「副業をお金欲しさにやってしまってるところがあるな」と気づき、ある会社のWebサイトをまるまる一本無料で作ったことがあります。お金が発生しないのでスケジュールを求められることもなく、自由にデザインの提案や実装ができました。そういった経験が学びになることもあるので、僕はお金を受け取る形の副業でなくてもやってみると良いと思います。先ほどの制作では結局美味しいステーキをご馳走になったのですが(笑)、そのように体験という形で報酬をいただくのも面白いですね。

【ここまでのまとめ】
・これからのデザイナーには思考力が求められる
デザインの価値は、グラフィカルなものから体験作りへ変化している!事業戦略から環境づくりまで、デザインで解決できることは何かを考えて行動するのが大事。

・副業は、できるならどんどんやるべき!
体験の種類は多いほう良いし、自分のキャリアを見つめるきっかけにもなる。ただ、当然ながらスキルが求められることは覚えておこう。あえてお金という報酬抜きでやってみるのも発見があるかも?

ビビビット小宮:
本日はお三方、いろいろなお話をありがとうございました!中途領域の転職や副業をお探しの方は、ViViViTもぜひご利用ください。

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●最後に

転職によって着実にキャリアアップを重ねてきたデザイナー3名ですが、その経緯を伺ってみると、多くの経験やアクションを起こしていたことが結果的にキャリアアップに繋がったということがわかりました。
いま転職を考えている人もそうでない人も、この機会に「やりたいことができているか」や「それに対してのアクションをしているか」について考えてみてはいかがでしょうか。ご自身のこれまでの経験やスキルと合わせて振り返ってみると、これからやるべきことが見えてくるかもしれません。


(2019.10.23)

著者

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K村

UI/UXデザイナーとして働く会社員。コピーライティングを学んでからマーケティングへの関心が強くなった。SF的なものが好き。はたらくビビビットのインターン1期生。

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