今回ご紹介するのは、3DCGジャンルのキャラクターモデラーに内定した孫さんのポートフォリオです。自己紹介ページでは、「業界を志望するきっかけ(ゲーム会社でのインターンを経験し、ゲーム業界に魅了された)」と「自身の制作への取り組み方(違う表現を生み出すとき不安になることもあるが、自分を信じてチャレンジし続けた)」が記載されていました。ものづくりへの愛と情熱が詰め込まれたポートフォリオを、さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
孫イヒさん
2020年春 HAL東京卒業予定
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PICK UP!ポートフォリオのこだわり
あえてシンプルな表紙で、中身とのギャップを
孫さん:表紙と裏表紙は白紙をベースに、シンプルな猫ドラゴンの絵を載せました。表紙と裏表紙が相呼応して、印象に残るようにこだわりました。また、表紙はあえてシンプルに作っています。中身の“濃い”モデリングたちとのギャップを作り出し、さらに印象的になるのではと考えました。
時には自由なレイアウトで変化球を
孫さん:背景モデリングの紹介ページでは、ありがちな三面図やテクスチャーの並びのレイアウトではなく、少し自由にレイアウトしました。
画面上と限りなく近い色味を再現する
孫さん:写真印刷用の光沢紙と写真用のクリアファイルを探し、同じブランドのものを何冊も使いました。作品の色にこだわっていたので、印刷で出たものとデータの差をなるべく抑えられるよう努力しました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
印象に残る作品作りを目指し、世界観があるクリエイティブな物を詰め込む
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介
- リアル造形キャラモデリング3点
- デフォルメ造形キャラ2点
- ハードサーフェスモデリング2点
- チーム制作
- 2Dコンセプトアート
- インターンの制作物
- 2Dキャラデザイン
- デッサン
- 裏表紙
●制作時期
ポートフォリオ自体は3年生の7月頃〜
●制作プロセス
(1)ポートフォリオの構成を考える
(2)作品をピックアップ
(3)足りない作品を制作しながら、レイアウト
(4)自宅プリンターで印刷
(5)ファイリング
▼CHECK!作品説明は?
●こだわったところを具体的に!before・afterで見せる
編集部:冒頭のキャラクター作品を3ページに渡って説明している孫さん。最終的なアウトプットや定番の「制作時間」「使ったソフト」に加え、「詳細なキャラクター設定」「ポリゴン数」や「三面図」も記載しています。
▲右ページ上部【髪の毛のブラッシュアップ】
髪の毛は一番難しく、時間がかかりました。テクスチャと板ポリの配置を見直しました。
before:板ポリ感があり、髪の毛のボリュームが少ない
after :板ポリ感が比較的減って、ボリュームが増えた
編集部:特に注目したいのが、「髪の毛のブラッシュアップ」について特筆している点。before・afterの画像を載せており、「作品を完成させるためにどんな努力をしたか」が一目で伝わってきました。
●印刷 / 製本方法
自宅プリンターで写真紙に印刷 / 市販の写真用クリアファイルにファイリング
●サイズ / ページ数
A4 / 33ページ
●制作にかかった費用
1冊6000円~10000円
●制作するうえで参考にしたもの
・学校の先輩たちのポートフォリオ
・ViViViT(ビビビット)で公開された先輩たちのポートフォリオ
●ViViViTページのこだわり、使い分け
孫さん:ViViViT(ビビビット)ページは主にインターンの応募や、就職のエントリシートを提出するために利用しました。紙のポートフォリオは主に面接で使いました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
孫さん:ポートフォリオは自分の分身だと思います!私はゲーム業界への思いと情熱、自分のスタイルをポートフォリオに詰め込みました。もし私と同じようにゲーム業界が大好きで、ものづくりへの情熱に自信があれば、ぜひそれを遠慮なくポートフォリオに詰め込んでください。何が良いか・何がダメかのルールを考えるより、「これが私だ!」という勢いで勝負しましょう!
はたらくビビビット編集部より
孫さんのポートフォリオの製本には、きれいで丈夫なファイルが選ばれています。印刷用紙にもこだわり、画面上でつくりあげたものと最大限近い色味で印刷しています。このこだわりこそが、孫さんのものづくりへの情熱と想いの現れだと思います。見る人に負担を与えずに作品の魅力を最大限再現するには、細部への気遣いが欠かせません。
また「CHECK!」の部分でご紹介した「ブラッシュアップの痕跡を見せる」というポイントは、3DCGジャンルのポートフォリオでなくても参考にしたいところ。その作品で特に伝えたい点をポートフォリオ上でピックアップしておくと、面接で話題に上がりやすくなりますし、その時にポートフォリオがプレゼンボードになりますね。冊子としても面接ツールとしても参考にしたいポイントがいっぱいです。
孫さん、ありがとうございました!
(2019.12.12)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア