ゲームや映画の設定資料集を参考につくられたゲームグラフィックデザイナー・小野寺さんのポートフォリオは、オリジナルキャラクターが集合したワクワクする表紙から始まります。 実際に遊べるゲーム作品が多く掲載されており、スキルと世界観がわかりやすく伝わってくるポートフォリオです!さっそくご覧ください。 編集・執筆 / YOSHIKO INOUE
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ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント
■ゲームの設定資料集で得るポートフォリオのヒント
編集部:映画やゲームの設定資料集では、完成に至るまでのアイデア集などが多く掲載されていますよね。小野寺さんのポートフォリオでもロゴのアイデア集やキャラクターデザインの設定画、絵コンテやスケッチのページが設けられ、試行錯誤の軌跡が綴られています。 ともすれば冗長になってしまう部分ですが、フォントや背景などのあしらいによって楽しく読み進められます。「メイキングの見せ方」という視点で設定資料集を読むと、たくさんのことが学べそうですね!
■実装ゲーム多数!「ゲームをつくりたい」が効果的に、素直に伝わる
編集部:小野寺さんのポートフォリオには、企画〜実装、展示まで行った「実際に遊べるゲーム」が複数掲載されています。ゲーム会社に向けて「ゲームをつくるのが好き、自分がつくったゲームで遊んでもらうのが好き」という意思と実績(スキル)がストレートに伝わると思います。遊んだ人の反応や、グループワークの場合の担当箇所などすっきり整理されている説明情報にもご注目ください!
■情報量が多くても見やすく設計されたレイアウト
編集部:ポートフォリオ冒頭の作品は12ページの大ボリュームで情報量も多いですが、トンマナが揃ったレイアウトでとても見やすいです。コンセプトや試行錯誤のプロセスも、説明文は基本的に「キャッチコピー+2〜3文のテキスト」のキャプションになっており、各ページの決まった位置に配置されています。 「何を考え、なぜこのデザインなのか」がきちんと伝わるポートフォリオを目指した小野寺さん。ポートフォリオの冒頭では自身のデザイン哲学を表現したページを設けています。
PROFILE
小野寺 健人 さん
武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
総合的なゲームデザインスキルを12ページの冒頭作品で伝える
小野寺さん:ゲームデザイン「EasterWars」のページでは、ゲームのシステム、キャラクターデザイン、UIなどほぼ全てを一人で制作し最も力を入れた作品のため、その一つ一つをどのような考え方で作り上げたのかページを贅沢に使って丁寧に説明しました。
インパクト大、自身の特徴が伝わるイラストは全面に!
小野寺さん:イラストレーション「NEST」のページでは、自分のイラストの特徴である彩度の高さ、カラフルさなどを一目で見せられるレイアウトにしました。
グループワーク作品はプロセスを中心に紹介!
小野寺さん:アニメーション「TORUS」はグループワークだったため、制作過程を伝えることを重視しました。ラフやアイデアスケッチを他の作品よりも気持ち多めに載せています。
小野寺さんのポートフォリオをフルページで見る!
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ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
考え方が楽しく伝わるポートフォリオ 小野寺さん:「なぜこのデザインなのか、なぜこのような作り方なのか」自分の考えが読んだだけで伝わるような構成を意識しました。一方で説明過多で堅いポートフォリオにならないように、ゲームや映画の設定資料集の構成を参考にして、楽しんで読めるポートフォリオにすることを目指しました。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- コンセプト説明
- 自己紹介ページ
- 目次
- ゲームデザイン関連の制作物
- イラストレーション・ドローイング
- アニメーション
- その他(CG・プログラミング・Webデザイン等)
- 裏表紙
●制作時期
大学3年生の10月ごろ〜3月末
●制作プロセス
- 作品をピックアップ
- InDesignでデータ制作
- 人に見せてフィードバックを受ける
- 作品の修正・追加
- レイアウト等修正
- 3~6を期限まで繰り返す
●ポートフォリオ制作に使ったソフト
InDesign、Photoshop
●サイズ / ページ数
A4(印刷する場合) / 76ページ(PDFでのページ数)
●印刷 / 製本方法
なし(PDF提出のみ) ※但し、提出先で企業側が印刷をした場合でも問題ないデータにしておく
●制作にかかった費用
なし(PDF提出のみ)
●制作するうえで参考にしたもの
ゲームや映画の設定資料集
●表紙をつくるときに工夫した点
自分らしさとインパクトを伝えること
●制作中にアドバイスをもらった人
学科同期、ゲーム業界内定済みの先輩
●ポートフォリオを使ったプレゼンで工夫したこと
小野寺さん:ポートフォリオ内に言いたいことは全て書いているため、その内容と矛盾するようなことを言わないようにしました。そのために、常に考えを整理していました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
小野寺さん:私は、他人と比べず自分を見つめることの大切さを就活を終えて強く感じています。 大学、専門学校やポートフォリオサイトなどで他人の作品を見ていると、その人たちの秀でた点ばかり目に入り自分は本当に大丈夫だろうかと、不安に思うことがあるかもしれません。ポートフォリオに限った話ではありませんが、企業に一番に見せるべきは自分がどんな人間なのかということです。もし不安を感じてもそれはそれと割り切ってしまい、「自分」の人となりが最大限伝わるようなポートフォリオを作って企業へ見せつけましょう。自分に合った良い企業ときっと巡り合えると思います。できるだけ気を楽に頑張ってください。
(2023.1.26)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア