東京藝大デザイン科卒、イラストレーターのポートフォリオ!

ゲーム業界イラストレーター・2Dデザイナーは就職難易度がとても高い職種です。求められるスキルが高いと同時に、志望者も全国に多くいらっしゃいます。そんななかでプロとして活躍する方たちは、スキルアップへの飽くなき向上心と実践を繰り返している印象です。2024年春からイラストレーターとして就職したM.Y.さんのポートフォリオをご紹介します!

編集・執筆 / YOSHIKO INOUE

ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント

■コンセプトアート、キャラデザ‥ゲームを想定した内容

編集部:M.Y. さんのポートフォリオは、[コンセプトアート][キャラクターデザイン][イラスト][デッサン]の構成です。下記のコラムでも公表している通り本選考に向け作品そのものも何度もブラッシュアップ。結果的に、ゲーム業界やイラストレーターを採用したい企業が知りたいスキルを網羅しています。ポートフォリオ内のイラストは全て自主制作だそうなので、学校でイラストを専攻していない方も、どんな作品を追加すべきかぜひ検討してみましょう!

▼M.Y. さんがポートフォリオブラッシュアップの変遷をコラムにしてくれました!

インターンは通るのに本選考は難しい?内定者ポートフォリオのBefore/Afterからヒントを得よう

PROFILE

M.Y. さん

東京藝術大学卒業

PICK UP!ポートフォリオのこだわり

キャラクター・衣装デザインはストーリーや世界観と共に考える

M.Y.さん:キャラクター・衣装デザインのページは、ゲームの設定資料集のような雰囲気を意識しました。私はキャラクターや衣装デザインを考える時にその世界観や大まかなストーリーの流れも一緒に考えていたので、それらをまとめる形でポートフォリオに掲載しようと考えました。ただ考えたデザインを白い背景に見やすくまとめるだけでは何か物足りなさを感じていたので、自分が大好きなゲームの公式設定資料集を参考にしました。ページを開いただけでゲームの世界観に引き込まれるような本作りを参考に、背景の色や質感、レイアウトや文字の量などを修正していくと、自分が当初から考えていたキャラクター・衣装デザインの世界観をビジュアルから表現することができました。

第三者の声をもとにしたブラッシュアップは大きなアピールに

M.Y.さん:ブラッシュアップ前後の変化も載せました。ゲーム業界だけでなく、クリエイターとして何かデザインを提案するとき、一発で案が通ることはなかなか難しいことだと思います。周りからフィードバックやアドバイスなどをもらいながらクオリティを上げていくのが一般的だと考えます。
私がポートフォリオに掲載したイラスト作品は全て自主制作だったので、極論作品のクオリティを主観で判断できてしまう点が危険なところでした。そこでPinterestを参考にしたり、インターンでお世話になった社員さんに相談したり客観的な意見をいただきながら改善し、「どんなところをどんな風に良くしていったのか」を掲載しました。そうすることで、一度出したアイディアに満足することなく、どんどん良くしていける向上心や積極性をアピールできました。

実力を裏付ける制作過程の説明

M.Y.さん:「スケッチ」や「考えた過程」はしっかり掲載することを意識しました。完成度の高い一枚絵はもちろん需要が高いですが、それを載せるだけではただの画集になってしまうので、「この作品が完成するまでにどんな試行錯誤があったのか」をスケッチなどで伝えられるように意識しました。実際に企業の方からも、スケッチがあることで作品の意図や制作者が普段どんなタッチで絵を描くのかが伝わりやすく、実力の裏付けにもなると評価していただきました。

ポートフォリオ一問一答

●このポートフォリオを提出した業界

ゲーム業界

●コンセプト

色彩とデッサン力で、空気感や臨場感の伝わる作品作りを心がけたポートフォリオ

M.Y.さん:特にゲーム業界一本に絞って就活していたので、このポートフォリオを見た時に新しいゲームを始める時のようなワクワク感を感じられるようなものにしようと考えて制作しました。

●ポートフォリオの構成

  • 表紙
  • 自己紹介
  • もくじ
  • キャラクター・衣装デザイン
  • 2Dイラスト
  • デッサン
  • 学校の制作物
  • 裏表紙

●制作時期

大学3年生の夏〜大学4年生の春(2021年6月ごろ〜2022年5月ごろ)

●制作プロセス

(1)作品制作
(2)作品をピックアップ
(3)InDesignでデータ制作
(4)コンビニのプリンターで試し印刷
(5)データ提出

●ポートフォリオ制作に使ったソフト

Adobe InDesign

●サイズ / ページ数

A3横 / 32ページ

●印刷 / 製本方法

データ提出のみのため印刷なし

●制作にかかった費用

3000円程度(確認用の印刷費)

●表紙をつくるときに工夫した点

M.Y.さん:自分の「好き」が一発で伝わることと、表紙映えする作品かどうかを意識しました。
イラストレーターの就活は、ただでさえ応募者の母数が多いだけに表紙はとても大切だと考えていました。自分の自信作且つどんな雰囲気が好きなのかが伝えられると、ざっくり私という人間を知ってもらえるのではないかと考えて作品を選択しました。
また表紙映えというのもかなり大事で、ポートフォリオの表紙には何かしら文字が入るので、作品と文字のバランス次第で表紙の印象もかなり変わってくると思います。文字が読みづらい、作品が見えづらいだと結局どちらにしても悪影響なので、表紙のデザインが一番良くなる作品を選択しました。

●ポートフォリオを使ったプレゼンで気をつけたこと

M.Y.さん:実際にプレゼンをする面接はなかったのですが、作品ごとに工夫した点をまとめておいたり、ポートフォリオ全体の流れが分かりやすく説明できるように準備していました。

●制作するうえで参考にしたもの

ViViViTの先輩ポートフォリオポートフォリオ百科、Pinterest

●制作中にもらったアドバイス

M.Y.さん:ポートフォリオのアドバイス会に参加したり、インターン中にお世話になった社員さんに直接アドバイスをいただいていました。そこではポートフォリオ全体の流れやレイアウトのアドバイスのみだったり、別の会では作品の内容にまでしっかりとアドバイスしてくださったりと、アドバイス会にもかなりバラツキがあったため、ひとまずたくさんのポートフォリオイベントに参加してみるといろんな意見をいただけるのでおすすめだと思います。

▼後半にはデッサンを5点掲載

●ViViViTページと紙ポートフォリオの使い分け

M.Y.さん:私の就活では全てオンライン上でのやりとりだったので、紙ポートフォリオは使っていませんでした。企業ごとにポートフォリオデータの提出方法が異なっていて、データファイルをそのままアップロードするところもあれば、ポートフォリオサイトなどのURLのみ受け付けるというところもあったため、後者の企業の就活ではViViViTページのリンクを提出していました。

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

M.Y.さん:「その企業に入ったらどんなことがしたいのか」「自分は何が出来て何に自信を持っているのか」「自分はどんなことが好きなのか」を全力で伝えることを意識するといいと思います。ゲーム企業のイラストレーターの就活は、絵が描けることは大前提でその上で何がしたいのか、イラストレーターとしてどう成長したいのかをアピールすることが重要です。それを伝えるための作品制作や作品選びが必要になってくると思います。そうすると、企業側も一緒に仕事をするイメージが浮かび選考が進むチャンスが掴めると思いますので、頑張ってください!

編集部:M.Y.さん、ありがとうございました!

M.Y.さんも使った!ViViViTでポートフォリオをつくってみる

(2023.7.11)

著者

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井上佳子

はたらくビビビット編集長。 株式会社ビビビットの社員です。ポートフォリオづくりに役立つ情報発信を目指します。 Twitter

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