メディアアーティストって何?|仕事百科

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最近よく耳にするようになった「メディアアート」という言葉。日本には世界から注目されている【メディアアーティスト】が、数多くいることを知っていますか?そこで今回は「メディアアート」、そしてそれらを生みだす【メディアアーティスト】についてご紹介します。編集・執筆 / Ayako Yamada, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi

目次

  • 1. メディアアーティストって何?
  • 2. メディアアートの表現手法
  • 3. 必要なスキル
  • 4. 活躍する日本人作家
  • 5. 企業でメディアアートを作る
  • 6. 最後に


1.メディアアーティストって何?

まず、「メディアアート(Media art)」について知っていただきましょう。
メディアアートとは、コンピューターや電子機器などのテクノロジーを利用した芸術表現のことです。科学技術の進歩とともに、1990年代から芸術表現にもテクノロジーが活発に取り入れられるようになり、メディアアートという新たな芸術表現が生まれました。このようなテクノロジーを利用した作品の制作・発表を行う芸術家のことを【メディアアーティスト】と呼びます。


2. メディアアートの表現手法

ひとえにメディアアートといっても、その表現はさまざまです。
ここでは代表的な表現・制作手法を3つご紹介します。

① インスタレーションアート

インスタレーションアート(Installation art)とは、ある特定の場所にオブジェや装置を設置し、その空間全体を作品として演出する手法のことです。鑑賞者はその空間に入ることで、五感全体で作品を体験することができるのが特徴です。メディアアートでは、音・映像・光を扱うものが多く、インスタレーションはこれらを効果的に鑑賞者に体験させることができる手法と言えます。


▲ ① インスタレーションアートの事例:Crystal Universe / チームラボ

② インタラクティブアート

インタラクティブアート(Interactive art)とは、鑑賞者が何らかの方法で作品に参加し、鑑賞者と作品の間にインタラクション(相互作用)をもたらす表現手法のことです。メディアアートでは、コンピューターやセンサーを用いて鑑賞者の動きや熱を感知し、作品に反映させるという手法が多く見られます。鑑賞者の動きによって作品が変化するユニークさや、鑑賞者自身が作品に参加することでより深い作品との対話・理解が期待できることが特徴です。


▲ ② インタラクティブアートの事例:冬を楽しむインタラクティブアート「雪とくらげ」/ 1→10design

③ インターネットアート

インターネットアート(Internet art)とは、インターネットを主な媒体とする表現手法のことで、WEBサイトやアプリケーション、SNSへの投稿といった形で発表されます。インターネットが広く普及した現代、鑑賞者にとって身近なものを媒体に表現することで、よりリアリティを持って鑑賞者に受け取られることが特徴です。


▲ ③ インターネットアートの事例:Hello World:for the Post-Human Age / exonemo


3. 必要なスキル

メディアアートの制作には芸術分野の知識だけでなく、プログラミングなど工学分野の知識・技術も必要不可欠です。また、新たなテクノロジーとアートを融合させる柔軟な発想、そのアイデアを形にする技術力も必要です。
最新技術を扱う専門性を個人でまかなうのは容易なことではないため、メディアアートはチームで制作する場合も多いです。

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4. 活躍する日本人作家

● 真鍋 大度さん(まなべ だいと)



リオ五輪閉会式での東京2020パフォーマンスの制作チームで、チーフテクニカルディレクターを務めた日本を代表するメディアアーティストです。もともと音楽に関わる仕事にも関心があったと語る真鍋さんは、PerfumeやOK GOなど国内外のアーティストとコラボレーションを行い、世界的に高い評価を得ています。

● 落合 陽一さん(おちあい よういち)



“現代の魔法使い”と呼ばれ、シャボン玉に映像を投影する作品から、AIを用いて身体障害を補助するデバイスの開発まで、幅広い分野で世界中の人々を驚かせる作品を発表しています。人・機械・自然が親和しその区別が無くなる「デジタルネイチャー」という未来を見据え、筑波大学准教授として研究開発や若手の育成にも力を入れています。
また、6月28日(木)まで個展「落合陽一、山紫水明∽事事無碍∽計算機自然」が神宮前のGYREにて開催中です。落合さんの新作・近作が一堂に会する必見の展示です。

● 岩井 俊雄さん(いわい としお)



日本のメディアアートの先駆者と呼べる人物で、インタラクティブな映像楽器を中心に、1990年代から国内外で数多く作品を発表しています。そのほか、坂本龍一さんとのコラボパフォーマンスやTV番組のキャラクター・CGシステムデザイン、三鷹の森ジブリ美術館の映像装置「トトロぴょんぴょん」など、その活躍は多岐に渡ります。

● 明和電機(めいわでんき)



青い作業服を着用した作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶ、中小企業風のスタイルで活動する兄弟アートユニットです。魚をモチーフにした「魚器(NAKI)シリーズ」や、オリジナル楽器電動「ツクバシリーズ」など、ナンセンスでユニークな作品を制作しています。作品をマスプロダクトに落とし込み大量流通するなど、新しい芸術の形を提案しています。

● 市原 えつこさん(いちはら えつこ)



テクノロジーと日本的な文化・信仰をかけ合わせた斬新な作品が話題を集めている注目のアーティスト。虚構の美女と触れ合えるシステム「妄想と現実を代替するシステムSR×SI」や、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる「デジタルシャーマン・プロジェクト」など、社会的タブーを扱いながらもユニークに表現した作品を発表しています。


5. 企業でメディアアートを作る

● チームラボ株式会社(teamLab Inc.)



猪子寿之さんが代表を務めるデジタルコンテンツ制作会社で、様々な分野の専門家が集まったウルトラテクノロジスト集団です。光や音・映像といった最新技術を駆使し作り出された幻想的な空間で、子ども向けのアートアトラクションなど、国内外の様々な場所で参加者体験型のアートプロジェクトを行っています。

● 株式会社ライゾマティクス(Rhizomatiks)



先ほどご紹介した真鍋大度さんが所属するクリエイティブ集団です。3部門に分かれており、その中でもライゾマティクスリサーチ(Rhizomatiks Research)がR&D*1要素の強いプロジェクトを多数行っています。ダンスグループ「ELEVENPLAY」とコラボレーションし、VR・AR・ドローンといった最新技術と生身のダンサーを融合させたパフォーマンスなどで、世界中から驚嘆と賞賛の声を集めています。


*1……Research & Development(リサーチ・アンド・デベロップメント)の頭文字で、「研究開発」のこと。

● 株式会社ネイキッド(NAKED Inc.)



村松亮太郎さんが代表を務めるクリエイティブカンパニーで、インスタレーションやプロジェクションマッピングといった人々の体験をデザインするプロジェクトをさまざまな企業とコラボレーションしています。繊細で美しい映像制作を得意としており、東京駅の3Dプロジェクションマッピングなど、話題の作品を多数手がけています。


6. 最後に

様々なメディアアーティストやその作品を紹介してきましたが、メディアアートはやはり実際に五感で体験してその魅力やすごさがわかるものです。NTT インターコミュニケーション・センター(ICC)や日本科学未来館など、メディアアートを中心に展示しているギャラリーもあります。ぜひメディアアートを観に出かけて、メディアアーティストたちのアイデア・技術を体験してみましょう。

(2018.4.26)

著者

山田彩子

筑波大学 芸術専門学群を2019年3月に卒業。イラストを描いたり、雑誌を作ったりします。玉子焼きがあれば幸せです。

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