学生だけでこんなにできるの!?武蔵野美術大学芸術祭2018“プロジェクションマッピング”クローズアップ

全国の美大生にとって、秋といえば芸術の秋、「芸術祭の季節!」というイメージが強いのではないでしょうか。皆さんは今年(2018年)、どこかの芸術祭に足を運びましたか?
今回はたらくビビビットでは、昨年に続き【 武蔵野美術大学芸術祭2018プロジェクションマッピング 】に注目!今回は、最終日の様子と「プロジェクションマッピング」についてご紹介したいと思います!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE, AYUPY GOTO

目次

  • 1. 今年のテーマは「アート・マハル」
  • 2. 最終日18:30、プロジェクションマッピング開始!
  • 3. 2018プロジェクションマッピング 
    プロジェクトリーダー『龍田哲郎さん』にインタビュー!
  • 4. 最後に

1.今年のテーマは「アート・マハル」

【 武蔵野美術大学芸術祭 】は、祭典3日間で毎年約3万人を超える来場数を誇り、美術系大学の中でも国内最大規模の学園祭です。毎年芸術祭のテーマが発表され、その3日間は校内全体がテーマに合わせた雰囲気で賑わいます。
今年のテーマは「アート・マハル」。特設サイトに彩られていたビジュアルが、当日の学内でリアルに再現されていました!
▼芸術祭・特設サイトのビジュアル (http://www.geisai.jpより)

▼ 武蔵野美術大学芸術祭についてはこちら
武蔵野美術大学芸術祭 ホームページ

 
▼当日学校を訪れると……


▼校内のいろんなところに「アート・マハル」にちなんだオブジェが。
かわいいし、クオリティが高い!




校内を進むと、模擬店やライブペインティング、イベントなどたくさんの催しが開催されていました。制作した絵画作品を展示したり、有志で集まってグループ展をしたり、自身がつくったグッズや雑貨を販売したり……。普段の成果を自由に発表できる場で、参加する学生が思い思いに芸術祭を盛り上げていました。

▼”文字好き美大生”が集まる書TIMESさんの展示ブースでは、来場者が参加できるコンテンツがたくさんありました。


普段はアート・デザインを学ぶ皆さんですが、ダンスやプロレスなどパフォーマンスも充実していたのが印象的でした。そしてどの催しも、総じて衣装や小道具のクオリティが高い!課題の合間を縫って、芸術祭のために制作を進めてきたのでしょう。
どこを訪ねても外れ無しのクオリティに、「3日間連続で来た!」という方も。

▼模擬店の看板も個性豊かでした!

▼「桃饅頭」をいただきました。店内もかわいく装飾されていて、いるだけで楽しい!

 

2. 最終日18:30、
美術館前にてプロジェクションマッピング開始!

武蔵野美術大学芸術祭のフィナーレを彩るプロジェクションマッピングは、高さ16.5メートル、横幅11メートルという、武蔵野美術大学美術館の巨大壁面に投影されます。

実は、芸術祭の前にTwitter上で予告編の公開も!この予告編を見て、当日のプロジェクションマッピングを楽しみにして来た方も多かったのではないでしょうか。
▼芸術祭のために解説された単発アカウントにも関わらず、そのクオリティから140RTもされていました。



芸術祭最終日、投影開始の30分以上前から、来場者・在学生含め多くの人が美術館前に集まっていました。
そしていよいよ18:30、プロジェクションマッピングがスタート!


 
……ご覧になりましたか?

今年の芸術祭のタイトル『アート・マハル』に合わせ、アラビア風のモチーフや演出が多く登場しています。また、フォトリアルなCGを使った映像と、繊細なキャラクターアニメーションが融合され、観客はテンポに乗って世界観に入り込めますね!

制作は1年生から4年生までの有志メンバーによるものと聞いています。どのようなメンバー構成になっているのでしょうか。
 

【プロジェクションマッピング2018 制作者】

    “Museum Projection Mapping 2018”

    Director – ディレクション・総合演出
     龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科 3年 )

    CG Generalist – CGジェネラリスト
     宮田健吾 Kengo MIyata ( デザイン情報学科 3年 )
     太田淳一 Jyunichi Ohota ( 基礎デザイン学科 2年 )
     リセンキ  Xuanyi Li ( デザイン情報学科 2年 )
     龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科 3年 )

    Motion Graphics – モーショングラフィクス
     リセンキ Xuanyi Li ( デザイン情報学科 2年 )

    SFX – 特殊エフェクト
     照山遥己 Haruki Teruyama ( 映像学科 2年 )

    2D Animator – 手書きアニメーション
     髙松彩花 Ayaka Takamatsu ( 基礎デザイン学科 2年 )
     野上可鈴 Karin Nogami ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     栗原三奈 Mina Kurihara ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     永田雄大 Nagata Yudai (基礎デザイン学科 1年 )

    Modeler – モデリング
     平井菜月 Natsuki Hirai ( デザイン情報学科 3年 )
     鈴木亨 Aki Suzuki ( 彫刻学科 3年 )
     田村優 Yu Tamura ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     栗原三奈 Mina Kurihara ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科 3年 )
     太田淳一 Jyunichi Ohota ( 基礎デザイン学科 2年 )

    Character Modeler – キャラクターモデリング
     鈴木亨 Aki Suzuki ( 彫刻学科 3年 )
     稲葉季伸 Kishin Inaba ( 映像学科 2年 )

    Character Animation – キャラクターアニメーション
     棚岡さゆみ Sayumi Tanaoka ( 映像学科 3年 )
     楊翔安 Shoan Yo ( デザイン情報学科 3年 )

    Rigger – リギング
     稲葉季伸 Kishin Inaba ( 映像学科 2年 )

    Designer – デザイン・設計図制作
     末髙彩乃 Ayano Suetaka ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     髙橋廉 Ren Takahashi ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     栗原三奈 Mina Kurihara ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科 3年 )

    BGM Composer – 総合音楽演出・制作
     甲斐田悠介 Yusuke Kaida ( デザイン情報学科 4年 )
     

    【 Grand Finale Digest Movie 】
    Director – ディレクション
     水口紋蔵 Minakuchi Monzo ( 映像学科 2年 )

    Camera – カメラマン
     原島敏郎 Toshiro Harashima ( 映像学科 3年 )
     吉田光宏 Mitsuhiro Yoshida ( 視覚伝達デザイン学科 2年 )
     伊藤りか Rika Ito ( デザイン情報学科 2年 )
     井口暁斗 Akito Iguchi ( デザイン情報学科 2年 )
     水口紋蔵 Minakuchi Monzo ( 映像学科 2年 )

    Editing – 編集
     水口紋蔵 Minakuchi Monzo ( 映像学科 2年 )
     村上サラ Sara Murakami ( 映像学科 2年 )
     龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科 3年 )

    Composer – 音楽演出・制作
     甲斐田悠介 Yusuke Kaida ( デザイン情報学科 4年 )

映像学科だけでなく彫刻学科などファイン系の学生もいます。いろんな学年・学科の学生が集まり、得意分野の集合体となっているのですね!
ここまで作り上げるまでに、さまざまな苦労や工夫があったかと思います。2018年プロジェクトリーダーの『龍田哲郎さん』にお話を伺ってみました!

3. 2018プロジェクションマッピング 
プロジェクトリーダー『龍田哲郎さん』にインタビュー!

龍田 哲郎Tetsuto Ryuta

武蔵野美術大学 武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科 3年
Twitter

1997年東京都生まれ。ディレクター、映像作家。
大学で「感性」「理性」の両方を研究すると同時に、映像媒体に限らない幅広いディレクションの経験を積む。デザイン、アートにおける両方の表現に興味があり、知覚に与える影響に焦点をおいた作品作りを日々模索している。その上でそれぞれの作品の「作り手」と「観客」とのコミュニケーションに興味を持つ。
エンタテイメント性のある映像演出、ライブ演出や舞台映像演出などを行う。

 

◎細部までのこだわりが、テーマ「アート・マハル」の表現に

ビビビット:今年のプロジェクションマッピングの
コンセプトを教えてください。
龍田さん:芸術祭のテーマ「アート・マハル」に合わせ、映像も”アラビア”をテーマに制作しました。
ランプから煙が出てストーリーが始まり、最後にはそのランプの中に煙が戻り話が終わる……という1つの流れを考え、「ランプが夢の世界を見せてくれる」をコンセプトに制作しました。

▼ランプや王宮など、アラビア風のモチーフがたくさん出てきました。

 

ビビビット:制作はいつから始めていたのですか?
龍田さん:企画が始まったのは1月頃で、制作は芸術祭の全体テーマが発表された5月からですね。スケジュールとしては、6月に絵コンテや演出を決め、8月にモデリング、9月に各パートの動きを完成させました。10月に入り手描きアニメーション部分が仕上がり、最後に各パートの微調整をしていきました。

 

ビビビット:約半年間もかかっていたんですね……!そんな中で、最も苦労した点はどこでしょうか。
龍田さん:細かいものが多く登場するので、膨大なモデリングを一つ一つ丁寧に製作するところが苦労しました。街が出てくる場面があるのですが、その場面は一つ一つを複数名のメンバーで作っています。それには本当に時間と労力を使いました。その代わりに、しっかりとどのような街であるか、そこに暮らしているキャラクターの生活感が垣間見えるほどまで作り込めたのではないかと思っています。

▼本編01:20頃〜の街並みのシーン。


 

ビビビット:そのお話を聞くと、もう一度街並みのシーンを見返したくなります!
それでは、こだわった点も教えてください。
龍田さん:全体を一つの作品として見てもらうため、すべての場面を同じテンポや速さにしたところはこだわりました。場面ごとに”激しい動きのところ”と”激しくないところ”を作ることで、全体として飽きない画面作りになり、またそれぞれのパートを一連の流れとして見れる作品になったと思います。
 また、もう一つの工夫は細部の作り込みです。観客の方が目にしないだろうと思うところまでディテールをこだわることで、はじめて全体として世界観がしっかりと伝わるものになると思います。グループのメンバー全員で同じレベルまで仕上げたからこそ、今回のテーマであるアラビアらしさが出たのだと思っています。
ビビビット:観る側を飽きさせないように、そんなこだわりがあったのですね。15分という長さの作品ですが、CGありキャラクターアニメーションありと、次は何が来るのかワクワクしながら見ていました。
龍田さん、お話をありがとうございました!

4.最後に

昨年に続き、二度目となる武蔵野美術大学プロジェクションマッピングのレポート。今年は、公式ツイッターを開設してメイキングを紹介するなど新しい取り組みにもチャレンジしていました。

約半年間の時間と労力をかけて完成した作品には、「先輩たちのプロジェクションマッピングに追いつき、追い越したい!」「来場者や在学生の心に残る作品にしたい!」という思いや情熱が、たくさん詰まっているように感じました。
今回私達ビビビット社では、少額ではありますがプロジェクションマッピングの制作費を協賛させていただきました。当日会場で迫力の映像を目の当たりにし、このような素晴らしい作品を支援できたことを嬉しく思いました。

来年はまたメンバーが変わり、芸術祭をさらに盛り上げてくれるのではないでしょうか。2019年の武蔵野美術大学芸術祭も必見です!

▼ 昨年の様子もチェック!
学生だけでこんなにできるの!?
武蔵野美術大学芸術祭2017“プロジェクションマッピング”にクローズアップ

 

(2018.11.11)
Yoshiko Inoue

著者紹介

井上佳子Yoshiko Inoue

女子美術大学卒業。 ビビビット社で、全国のデザイン・美術の学校へ行く仕事をしています。 ビビビットTwitterでもつぶやいてます( ^^ )/
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